Rakuten Fashion Week TOKYO 2021S/Sより ©JFWO

キーパーソン・インタビュー

安全かつ新しい、
そんな進化したイベント開催への大きな一歩

一般社団法人 日本ファッション・ウィーク推進機構
事務局長 古茂田 博 氏

春と秋、年2回開かれる国内最大級のファッションイベント<Rakuten Fashion Week TOKYO>。新型コロナの影響により今年3月は中止となったものの10月には万全を期して開催、6日間の会期を無事終了しました。その成功の舞台裏は? 古茂田博事務局長にうかがいました。

鍵を握った“見えない密”への対策

感染予防は易しくはない。それでも、みんなやりたいんですよ。Rakuten Fashion Week TOKYOは、自らのブランドを全世界に向けて発信できる絶好の舞台ですから。コロナ禍が終息しない状況にもかかわらず、今回の参加ブランド数は全39にのぼり、うち19は初参加でした。
各ブランドには事務局が主導してつくった対策マニュアルを提供し、丁寧に説明して加わっていただきました。滞留人員数の削減、ディスタンスの遵守など細部にわたるレギュレーションを定め、ブランド側の責任者として“コロナ隊長”を指名させてもらいました。とはいえ、会場は広く、人の動きがある。ショーの最中のバックヤードなどはまるで戦場のようになるのが常。会場の隅々に至るまでチェックできるか。そこが密か密でないかを迅速に判断できるのか。不安の種を取り除くためなら、できる準備は全部しておきたかった。

ヘア・メイクルーム
ソーシャルディスタンスに配慮したヘア・メイクルーム。
換気ダクトの吸込口にセンサーを設置した
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Rakuten Fashion Week TOKYO 2021S/Sより ©JFWO

数値化でコミュニケーションが円滑に

頭を悩ませながら運営プランを練り上げていたときに出会ったのが、CO2センサーを使ったソリューションでした。当初はなぜCO2なのか、正直ピンとこなかったけれど、なるほどこれは面白いとなりました。CO2センサーを各所に設置することで目の届きにくいエリア、離れている部屋、ランウェイ以外は暗転してしまう会場内など、これらの密状態や換気効果も数値でリアルタイムに把握できる。
使用実感としてとりわけ有用だったのが、この数値化です。主観ではなく、客観的なCO2の測定値で密状態を示せるようになったことが、コミュニケーションに非常に役立ちました。数値を告げるとブランド側も納得して密回避に協力してくれました。

測定値スマホ画面
各空間に2〜4個ずつ設置したセンサーの測定値はPC・スマホから確認できる

今回を1つのお手本にして次のチャレンジへ

音楽ライブ、スポーツといったイベントと似ているようでまた違うノウハウがあり、実際に運営してみると新しい発見が次々に出てきます。政府の要請を受けてファッションイベントの予防対策ガイドラインも作成しましたが、これらの経験の蓄積を生かして、また次のイベントに挑めるのが楽しみですね。
今回はフィジカルなショーのための安全で安心な環境をつくりつつ、デジタルの環境を整えました。海外のジャーナリストが来日できず、来場者数も制限せざるをえない。そうした中で、デジタル配信によってブランドのメッセージや世界観を動画、アニメ、インスタレーションなども融合して国内外に広く発信するという、多様な表現の試みが一気に花開いた感があります。環境づくり、表現方法も含め、ファッションイベントのこれからを指し示す、1つのお手本ができたのではと自負しています。
迷いながら悩みながらも、コロナ禍の中での開催は新しいチャレンジをする契機になりました。無事に閉幕して今はホッとしていると同時に、イベントはもっと進化させられる、その手応えを感じています。

一般社団法人 日本ファッション・ウィーク推進機構 事務局長 古茂田 博 氏
一般社団法人 日本ファッション・ウィーク推進機構 事務局長
古茂田 博 氏